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『街』をつくる|web上に作りたい新しい地図の概念

 「インターネット上に地図を作りたいんだ」と話していたのは10年も前のことだ。当時は『セカンドライフ』が日本でも展開された頃であり、仮想現実な空間をweb上に作り出したかった欲が強い。ただ、その想いは未だやまない。もっと突き詰めれば、「地図」は「目的地」にたどり着くために必要な手段媒体の一つであるとの考えから、道中で見聞する様々なものからの知覚を獲得を可能とする概念に施したいのだ。

 あくまで個人的な話、ブログサービスや動画サイト、SNSが飛び出した2010年頃を境に、学生時代の多くを捧げたベンチャー的IT業界に面白みを感じなくなった。webサービスやアプリケーションの多くに最大限のリスペクトはあれど、ほとんどがイノベーションではなかったからだ。実行力は尊敬に値する。ただ、その企画を考えた人間は多数存在する。変化の無さに興味を失っていた。よほど人間自体のアップデートが面白く、教育やスポーツと言った頭脳や肉体で獲得する新たな技術を見届ける様に興味が移っていた。
 10年前と今では多くのことが異なっている。もしかしたら自分の生活がアップデートされていないのかもしれない。学生ではなくなって社会人となったが、そのことに何の変容はない。会社の社長として日々、自らの掲げる夢や目標に邁進し、多くの戦いや競争があったとしても、それは大人に限ったことではない。住環境や職場環境は変わったとしても大差はない。ただそれでも、ゲームの画質はPS4によって向上し、スポーツ動画の視聴領域はDAZNによって拡大した。連絡もLINEがあることで楽になり、wi-fi環境の広がりでストレスは減った。捨ててしまった領域さえ見逃せば、不満などもうないのだ。ただ、自分が見続けた教育産業とスポーツ業界、webメディア業界のアップデートに不満と改善案が溢れ出てくるほどにある。
 その先で実現したいのは、多様化の進んだコンテンツの横のつながりを形成していくことだ。地場産業だけでなく、潜在顧客が異業種に確実に存在する。そのシナプスを連結することでweb上に街ができ、地図を作ることができる。単一業界ではなく、横断的な業界に依拠できたことは幸いだった。行き交う人と人との間に入り込むことでできる小規模なコミュニティから街を成していきたい。

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