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『可視化された指標』を作り上げるために『サッカーデータ』を選択した理由

 先頃の仕事でインタビューを受けた。大層なものではないがこそばゆい。学生時代から幾度となく取材されたことがあるものの、出だしは恥ずかしい。
 しかし程なくすると判で押したようにいつもの”あいつ”がやってくる。この仕事をスタートさせてから「何故、サッカーの仕事をしようと思ったのか」との質問だ。スポーツメディア業界の人を除くと、前提条件段階で共感される確率はゼロに近い。

 結論として「人間の成長には『可視化された指標』が必要だから」との考えによる部分が大きい。元々教育領域のプレイヤーとマネージャーで成功体験を積んだことと、自身以外の間接成功体験を共有したことで確信に変わった。自らの能力値をパラメータ化し、『ゲーミフィケーション』で自身を育成する感覚を萌芽させられれば、人間は自らの『人生』に対する主人公意識を内在させることができる。どの瞬間からでも改めて『レベル1』になって初めの街から冒険に出ることは不可能ではない。
 他業界に持ち込んで達成させてみせようと思ったが、「ビッグデータ」を謳う割に世の中にデータは集積されていなかった。それでスポーツ→野球は無限にあり、他スポーツはそもそも情報量が薄すぎる→よって『サッカー』となったことがきっかけだった。
 話せば話すほどに当時の記憶が蘇ってくる。元々スポーツ全体的に深く追い続けてきたことも良かった。幼少期から目標としていた『データ』と『スポーツ』の仕事に携われることが何よりも嬉しかった。

 業界自体のない分野へ飛び込み、しかも『意外』と認知度自体が薄い業界のニッチ分野へと向かったことで仕事の特殊性は混迷を極めた。だからこそ「わからない」で突っぱねられることは嫌いじゃない。ベンチャーの世界にきた甲斐がある。
 幸運なのは、主に国内のプロ・アマ選手を問わず追いかけてきたことだった。プレーを見れば特徴や指針はわかるし、脳内にプレーのベクトルや能力値等が可視化される感覚は幼少期から持っていた。だからこそ、『パワプロ』や『ウイイレ』は興味深い。さらに彼ら選手には人生がある。何故サッカーを選択し、プロを目指すのか。ベンチ外の日々や負傷離脱が続いても何故不屈の精神で立ち上がるのか。ターニングポイントにこそドラマがあり、試合内のいざというときに選手の人生が現れる。プレー分析を語るのであれば、データから見る傾向だけでなく、データ外の領域を抑えねば真髄とは呼べない。僕はその地点に着手することを決めた。何年かかろうとも。だから、今の仕事を楽しいと思える。

 PSYCHO-PASSの1期では登場人物の一人である槙島聖護が『僕は人の魂の輝きが見たい。それが本当に尊いものだと確かめたい』と述べた。成長意欲のない人間を僕は自らの人生でともに歩むことなどできない。
 SEEDAとサイプレス上野は楽曲「HELL's KITCHEN」の中で『一億総コメンテーター身分』との歌詞を活用した。コメントするのはいい。ただ、挑戦もせず理解もせずにただ外野から言い続けることのカッコ悪さと『届かなさ』を彼らは知らない。自らの精神的マウントポジションを得るためのカタルシスなど、何の足しにもならないのだ。
 そう思いながら話し、インタビューが終わる。周りの方々の表情を見たときに少しでも高揚してくれる部分が見えるとこちらも嬉しい。僕らだって一人のプレイヤーだ。一緒の物事ではなくていい、それぞれの仕事があるのだから。それでも、それぞれの仕事の指針になにか一つでも得るものがあったならば、幸せな時間だったのだなと、少しだけ後ろを見て微笑んで、また前に進むことができる。

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